広告の種類が増える中、最適な媒体を見極めることがビジネスの成果を左右します。本記事ではオンライン広告とオフライン広告の代表的な種類を比較し、企業規模や目的別に最も効果的な媒体選びのポイントを解説。「広告って、結局どれを選べばいいの?」という悩みを抱える方に向けて、失敗しない広告戦略のヒントを提供します。

目次

広告の種類

広告には、大きく分けて「オンライン広告」と「オフライン広告」の2つの種類があります。

オンライン広告はインターネット上で配信される広告、オフライン広告はテレビやチラシなど、リアルな場で見かける広告です。

それぞれの特長を理解することで、自社の目的やターゲットに合わせて、効果的な広告戦略を立てられるようになります。

オンライン広告

オンライン広告は、スマートフォンやパソコンで目にするあらゆる広告のことを指します。SNSや検索サイト、動画サービスなど、さまざまな場所に表示され、即効性やターゲティング精度の高さが魅力です。近年のスマートフォンの普及やSNS利用の拡大により、マーケティング活動においてオンライン広告の重要性は年々高まっています。

ここでは、代表的な10種類のオンライン広告を紹介します。

リスティング広告(検索広告)

検索エンジン(GoogleやYahoo! JAPANなど)で、ユーザーが特定のキーワードを検索したときに表示されるテキスト広告です。購買意欲の高いユーザーのニーズを捉えて、効率的にアプローチできる点が大きな魅力です

クリックごとに料金が発生する「クリック課金型(CPC)」で、1クリック数十円〜数百円が一般的ですが、キーワードによっては数千円になることもあります。

■リスティング広告の特徴

  • 検索キーワードから「今まさに興味を持っている人」に広告を出せる
  • 購買意欲の高いユーザーに効率的にリーチできる
  • サービス業・ECサイトとの相性が良い
  • 広告文やキーワードの最適化によって成果が大きく変わる

ディスプレイ広告

Webサイトやアプリ内にバナー(画像)や動画で表示される広告です。視覚的にブランドを訴求できるため、サービスやキャンペーンの認知拡大に適しています。

ターゲティングオプションも豊富で、興味関心や行動履歴に基づいて配信可能です。リスティング広告よりクリック単価が安く、まずはブランドを知ってもらいたい企業に向いています。

デザインやメッセージ性が成果を大きく左右するため、クリエイティブ制作が重要です。

ディスプレイ広告の特徴

  • 画像や動画で“視覚的に印象を残せる”
  • Google広告やYahoo!広告が代表的な配信先
  • 興味関心・行動履歴などを基にターゲットを絞り込める
  • 認知拡大や再訪促進(リターゲティング)に最適

SNS広告

LINE、Facebook、Instagram、X、TikTokなどのSNS上で配信される広告です。

ユーザー属性や興味関心をもとにした高精度なターゲティングが可能で、ブランド認知から購買まで幅広い目的に対応します。写真投稿型、動画型、ストーリーズ型などフォーマットが多様で、数千円単位から出稿可能です。

SNS広告はユーザーとのエンゲージメントを重視する傾向があり、コメント対応やクリエイティブ改善を繰り返すことで高い効果を得られます。

■SNS広告の特徴

  • 年代、性別、興味・関心など、細かいターゲティングが可能
  • 画像、動画、カルーセルなど多様なフォーマット
  • 少額(数千円単位)から出稿可能
  • コメントや「いいね」を通じてユーザーとの関係を深めやすい

動画広告

YouTubeやTikTok、各種動画配信サービスで配信される広告で、映像と音声を組み合わせて強い印象を与えられます。

商品説明やストーリーテリングとの相性がよく、ブランドの世界観を伝えるのに最適です。費用は視聴回数や再生時間に応じて課金され、1再生あたり数円から利用可能です。

映像制作のコストはかかりますが、訴求力は非常に高いといえます。特に、化粧品の使い方やアプリの便利さを紹介するなど、「体験を伝える」広告に向いています。

■動画広告の特徴

  • 商品の使い方やストーリーをわかりやすく伝えられる
  • スキップできるタイプ、短尺タイプなど形式が豊富
  • 1再生あたり数円から配信可能
  • 映像制作費は必要だが、ブランド訴求力が高い

ネイティブ広告

メディアの記事やSNSの投稿など、コンテンツの一部として自然に表示される広告です。「広告らしさ」を抑え、読者にとって有益な情報として読まれやすい形式です。

クリック課金やインプレッション課金など柔軟な課金方式があり、情報提供型の訴求に向いています。

ブランドイメージを損なわずにマーケティングを進められる点で、金融や教育など信頼性重視の業種で多く採用されています。

■ネイティブ広告の特徴

  • 記事やフィードに自然に溶け込み、信頼されやすい
  • 情報提供型・ストーリー型の訴求に向いている
  • 金融・教育・医療など、信頼性を重視する業界に最適

アフィリエイト広告

成果報酬型広告の一種で、提携サイト(アフィリエイター)が広告主の商品やサービスを紹介し、成果が発生した場合に報酬を支払う仕組みです。

費用は完全成果報酬制が基本で、リスクが低い点が特徴です。成果地点は「購入」「登録」「資料請求」などで設定できます。

■アフィリエイト広告の特徴

  • 成果が出たときだけ費用が発生するため、リスクが低い
  • ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)を通じて簡単に始められる
  • 成果地点(購入・登録・資料請求など)を自由に設定可能
  • 長期的なパートナー育成が成功のポイント

記事広告

メディアやブログなどに記事形式で掲載される広告で、自然な文脈で商品やサービスを紹介します。読者の関心に沿ったストーリーテリングが可能なため、情報提供を通じて信頼を得やすい点が魅力です。

制作費は数万円から数十万円と幅広く、媒体によって大きく変動します。自社発信よりも第三者の視点を入れた内容にすることで、説得力と拡散力を高めることができます。

■記事広告の特徴

  • ストーリー仕立てで商品の魅力を伝えられる
  • 広告感が薄く、自然に読まれる
  • 制作費は数万円〜数十万円と媒体によって幅広い
  • SNSや検索エンジンで拡散されやすい

メール広告

特定の顧客リストに対してメールを一斉配信する広告です。既存顧客や見込み顧客へのリーチに向いています。

費用は配信数に応じて設定され、数千円から実施可能です。クーポンや限定オファーなど即効性のある訴求に強く、購買や再来訪を促進します。

ただし、開封率やクリック率は件名や送信タイミングによって大きく変動するため、テスト配信とデータ分析が肝要です。

■メール広告の特徴

  • 既存顧客・見込み顧客へのリーチに最適
  • 数千円から実施可能
  • 件名や送信時間によって反応率が大きく変化
  • 開封率やクリック率を見ながら改善できる

音声広告

SpotifyやPodcastなどの音声配信サービスで配信される広告です。通勤・通学中など、「ながら聴き」される時間に訴求できる点が強みです。

ブランドイメージ訴求やストーリーブランディングに適しており、ナレーションと音楽の構成次第で印象を大きく左右します。費用は再生回数課金型で1インプレッションあたり数円程度が一般的です。動画よりも制作負担を抑えながら情感訴求が可能です。

■音声広告の特徴

  • 視覚を使わない時間にもアプローチできる
  • ナレーションや音楽でブランドの雰囲気を演出できる
  • 動画より制作費を抑えられる
  • 1インプレッション数円から利用可能

デジタルOOH(Out-of-Home)広告

駅構内や街中の大型ビジョンなどに配信されるデジタルサイネージ広告です。リアルな場所にいながら、デジタルならではの動きや映像で目を引きます。

設置費用は数万円から、放映期間や枠の規模により変動します。映像クリエイティブとの相性が良く、都市部でのブランド認知向上に効果的です。従来の看板広告に比べ柔軟な運用ができる点が評価されています。

■デジタルOOH広告の特徴

  • 地域・時間帯・天候などに合わせた配信が可能
  • スマートフォンとの連携で拡散効果が期待できる
  • 都市部でのブランド認知やキャンペーン告知に最適

オフライン広告

オフライン広告は、従来から存在するマスメディアや印刷物など、リアルな接点を通して消費者に訴求する広告です。インターネットを使わないため、幅広い世代にアプローチできる点が魅力です。特に地域密着型の店舗やブランド強化に向いています。

ここでは主な4つのオフライン媒体を紹介します。

テレビ・ラジオCM

映像や音声で多くの人にメッセージを伝える、代表的なマス広告です。短期間で大きな認知拡大が可能です。

全国ネットから地域放送まで選択でき、1本あたりの制作費は数十万円から数百万円です。放送枠の費用は時間帯や番組視聴率で大きく変化します。

ラジオは地域ターゲット性が高く、コストを抑えながら親近感のある訴求が可能です。テレビ・ラジオともにブランドストーリーを映像・音声で印象づけることに長けています。

■テレビ・ラジオCMの特徴

  • 全国放送から地域限定放送まで選べる
  • 映像や音声で感情に訴えるストーリー表現ができる
  • ラジオは地域ターゲット性が高く、費用を抑えやすい

新聞・雑誌広告

紙媒体ならではの“信頼感”が強みの広告です。読者層が明確で、深い情報提供ができる点が魅力です。

費用は掲載サイズや発行部数によって異なり、全国紙の全5段広告で数百万円規模です。

雑誌はターゲットが明確なため、美容、旅行、ビジネスなど業種特化型の訴求に利用されます。紙面広告は信頼性が高く、企業の社会的信用を補強する効果があります。

■新聞・雑誌広告の特徴

  • 活字メディア特有の信用性と読者の購買意欲の高さ
  • 全国紙・業界紙・専門誌などから選択可能
  • 高価格だが、企業ブランドの信頼強化に効果的

交通広告・屋外広告(OOH)

駅・電車・バス・街頭ビジョンなどに掲出される広告です。通勤や通学で繰り返し目にするため、印象に残りやすいのが特長です。

掲出期間と場所によって価格は変動し、都市部の大型ビジョンでは1週間で数十万円以上かかることもあります。ブランド認知や新商品のローンチに効果的で、オンラインとのクロスメディア活用も注目されています。

■交通広告・屋外広告の特徴

  • 多くの人に繰り返し見てもらえる
  • 地域・場所・期間で柔軟に選べる
  • 新商品・キャンペーンの認知拡大に効果的

チラシ・ダイレクトメール

地域のポスティングや郵送で直接届ける広告です。エリアを絞って配布できるため、地域イベントや店舗集客に向いています。

ポスティングは1枚あたり約5円〜10円、DMは印刷・郵送費込みで1通あたり100円前後が目安です。ターゲットに直接届くため、特典付きクーポンやイベント案内など、具体的な行動喚起が可能です。

■チラシ・ダイレクトメールの特徴

  • ターゲットの自宅に直接届く
  • ポスティングは1枚5〜10円、DMは1通100円前後
  • クーポンや特典を付けて来店を促す施策に最適

業種・企業規模別の媒体選び

この章では、企業の業種や規模に応じた最適な広告媒体の選び方を解説します。スタートアップから大企業まで、それぞれの目的やリソースに合った戦略的な広告展開の方向性を理解できる内容です。BtoC・BtoB双方の視点から、具体的な選定基準や広告手法の活用ポイントを紹介します。

企業規模別の最適な媒体戦略

広告媒体を選ぶうえで、予算は最も重要な要素の一つです。企業の規模によって投資できる広告費や運用リソースは大きく異なります。そのため、「どの媒体を選ぶか」だけでなく、自社の予算に合わせた戦略設計を行うことが欠かせません。

スタートアップ・中小企業が選ぶべき広告

スタートアップや中小企業にとって、限られた予算の中で最大の効果を得ることが重要です。そのため、高額なマスメディア広告は避け、費用対効果が高く、成果を数値化しやすいオンライン広告を中心に展開するのが基本です。

オンライン広告の中では、ターゲットを絞りやすく成果が数値化しやすいリスティング広告SNS広告が有効です。また、コンテンツマーケティングを取り入れ、自社商品やサービスの強みを自然に伝えることも信頼構築につながります。

  • Google広告やYahoo!広告によるリスティング広告:少額から始められ、成果を分析しやすい
  • SNS広告:低コストで認知拡大やファン化が狙える
  • アフィリエイト広告:成果報酬型のため、初期費用のリスクを抑えられる

このように、デジタル中心の戦略を取りながら、段階的にブランド認知を高めることが、成長期の企業には最適なアプローチといえます。

大企業向け包括的メディア戦略

大企業の場合、すでに一定のブランド認知があるため、目的は「維持と拡張」に変わります。この段階では、オンラインとオフラインを組み合わせた統合的なメディア戦略(IMC: Integrated Marketing Communication)が不可欠です。

テレビCMや交通広告などのマス広告は強い影響力を持ち、全国レベルでの認知深化に有効です。同時に、SNSを活用したエンゲージメント強化も重要な施策です。

  • テレビ・新聞・雑誌広告:全国的なブランド露出と信頼感の確立
  • デジタル広告(動画・SNS広告など):若年層への訴求と話題性の創出
  • イベント・キャンペーンとの連携:オムニチャネルによる体験価値の最大化
  • データドリブンマーケティング(Data-driven Marketing):広告効果測定と継続的な改善

このように複数の媒体を連動させることで、消費者との接点を広げながら、高いブランドロイヤルティを育成することができます。

BtoC企業向け媒体の選定基準

BtoC(個人消費者向け)の広告は、「感情に訴える表現」と「広い接点の確保」が鍵です。目的に応じて、認知拡大型と購買促進型に分けて考えましょう。

認知拡大を狙う広告

新商品の発売やブランドの認知拡大を目指す場合は、まず「多くの人に知ってもらうこと」が大切です。テレビや屋外広告のように広範囲にリーチできる媒体に加え、動画広告やSNSを活用した「ストーリー発信」も効果的です。

  • テレビCM・YouTube動画広告:大規模なリーチと印象形成
  • インフルエンサー活用のSNS広告:共感を伴う認知拡大
  • 屋外広告(OOH)やデジタルサイネージ:通行者への反復的訴求

効果的な認知拡大を実現するには、単なる露出ではなく、「誰に、どのように見せるか」を明確にすることが重要です。ターゲット分析をもとに最適なチャネルを選定し、ブランドメッセージの一貫性を保つことで、広告効果を最大化できます。

購買促進に有効な広告

購買行動を促すには、行動喚起型のデジタル広告が効果的です。特にキャンペーンやクーポン施策との組み合わせは、即時的な反応を得やすいです。また、メールマーケティングやリターゲティング広告を組み合わせることで、購入検討中の顧客を確実に後押しできます。

  • リスティング広告:購買意欲の高い層に効率的にリーチ
  • SNS広告(特にFacebook・LINE):キャンペーン情報の拡散に有効
  • クーポンやポイント施策との連動:購買意欲を可視化しやすい
  • ディスプレイ広告:リターゲティング配信で検討層の購買を後押し

これらの媒体を連携させ、顧客データを分析しながら訴求内容を最適化することで、高いROI(投資対効果)が得られます。購買促進は一過性で終わらせず、リピート購入につながる設計を意識することが重要です。

BtoB企業向け媒体の選定基準

BtoB(企業間取引)の広告は、BtoCとは目的もアプローチも大きく異なります。購入・契約の意思決定に複数の関係者が関わるため、即効性よりも「信頼の積み重ね」や「専門性の訴求」が重要です。

リード獲得重視の広告

BtoB企業では、商品やサービスの性質上、購入サイクルが長くなる傾向があるため、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)を前提とした広告設計が必要です。

まずはリード(見込み客)の獲得を目的に、専門的なノウハウを提供する情報発信が有効です。具体的には、リスティング広告や記事広告、ホワイトペーパーのダウンロード施策などが代表的です。

  • リスティング広告:課題を検索する層へのアプローチ
  • 業界メディアへの記事広告:専門性の訴求とリード獲得の両立
  • ウェビナーやオンライン展示会広告:参加者情報を取得できる
  • SNS広告:職種・業界セグメントを明確に設定可能

これらを駆使し、広告経由で得たリードをCRMやMA(マーケティングオートメーション)で管理することで、商談率を高める効率的なBtoBマーケティングを構築できます。

ブランド信頼醸成に有効な広告

BtoB企業にとって最終的な意思決定には信頼と専門性が不可欠です。そのため、短期的なリード獲得型だけでなく、長期的にブランドの信頼を形成する広告活動が求められます。

業界誌や専門メディアへの寄稿広告、企業理念を伝える映像コンテンツなどが効果的です。また、展示会出展やオンラインセミナーといったリアル接点の場も信頼醸成に寄与します。

  • 業界特化型メディア広告:専門層への確実な訴求
  • 事例紹介動画・ホワイトペーパー:導入実績を通じた信頼向上
  • 展示会・カンファレンス連動広告:リアル体験による関係深化
  • PR記事広告:企業理念・技術力の可視化

ブランド信頼の醸成は短期的な売り上げ効果に直結しにくいものの、長期的には取引継続率や顧客紹介率の向上につながります。広告を単なる集客手段ではなく、企業資産としての信頼構築ツールと捉えることが成功の鍵となるでしょう。

まとめ

広告には多くの種類があり、企業の規模・目的・ターゲットによって最適な選択肢は異なります。スタートアップや中小企業は、費用対効果を意識してオンライン広告を中心に展開し、限られた予算の中で着実に成果を積み重ねることが重要です。

一方で大企業は、ブランド価値を守りながら拡張していくために、オンラインとオフラインを組み合わせた統合的なメディア戦略(IMC)が求められます。テレビCMや交通広告などのマス媒体に加え、SNSや動画広告を通じて新しい層との接点を広げることで、一貫したブランド体験を提供できるようになります。

また、BtoC企業は「感情に訴える広告表現」と「行動を促す仕掛け」の両立が重要で、BtoB企業では「専門性」「信頼性」「関係性の継続」が広告の核心となります。どちらの場合も、単発的な露出ではなく、顧客との長期的な関係づくりを見据えた設計が成功のポイントです。

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